導入事例 Case Study
企業内カスタマイズ研修
管理職・リーダー育成
役割マネジメント研修 - 部門の役割を言語化し、マネジメントスタイルを変換 -
株式会社赤ちゃん本舗
組織デザイン部 部長
大場 早苗 様
組織デザイン部
浦川 理可 様
テーマ:役割マネジメント研修
インタビュー
背景・課題
人事評価制度の改定タイミング。運用面での課題を解消するために
当社は「子育て総合支援企業」を目指し、マタニティ&ベビー・キッズ用品の専門店「アカチャンホンポ」を全国に展開する企業です。
人事評価制度を見直す中で、現行の人事制度の課題を管理者、実務者の双方にヒアリングしたところ、運用面が課題だという声が多く挙がりました。その課題解決が必要だったことがNOKIOOに役割マネジメント研修を依頼したきっかけでした。具体的には、決まった目標をどう業務遂行していくか、メンバーとどう目標に関する共通認識を作るか、どうコミュニケーションを取りながら適切な形で評価に反映させるか等です。そこで新しい人事評価制度を、より良い運用にしていくために、取り組みを行うことに決めました。
最初にアプローチする対象は、本部の部長層です。理由としては、目標や役割設定を担う層であり、まずは実際に実務として担う層のスキルが向上することがインパクトの大きな取り組みになると考えたからです。
ちなみに、NOKIOOとの最初の接点は、様々な情報収集をする中で、NOKIOO主催の「90分腹落ちセミナー」に参加したことでした。
セミナーでNOKIOOの世界観を知る中で、「どう共感を作って、組織を良くする仲間を増やしていくか」を大事にしていていることが分かり、今の当社にフィットすると感じていました。以来、いつかNOKIOOに研修をお願いしたいと考えていました。
研修企画・狙い
基礎研修を終えて、役割マネジメントを実践する難しさを痛感
NOKIOOに当社の課題を相談したところ、役割マネジメントを中心に対話の要素を組み入れた研修を提案していただきました。
NOKIOOが提唱する役割マネジメントとは、『期待役割』という「組織が個人に期待している役割や具体的な成果、それを実現するための要件」のマネジメントを指します。期待役割は作成することに加え、上司やメンバーそれぞれと対話をしながら、実際の事業活動に反映させていくことが求められます。
2023年、部長層に向けて役割マネジメントの基礎研修を行いました。初めての研修でしたので、受講者にどのような行動変容があったのか確認したいと思い、事後アンケートに加え、事後ワークも用意しました。研修後に受講者同士で言語化ワークを行い、全員に各部門の期待役割と成果要件を書いて提出してもらいました。
そのアウトプットを見て感じたのが、研修で理解をしても実際に手を動かしてみるのは難しいということです。例えば、期待される役割に売上目標を書いてしまったり、やることリストを書いてしまったり。経営陣が出した方針の言葉をそのまま書いてしまうケースもありました。自部門や自身に照らし合わせて期待される役割やその背景を言語化するのは、とても難しいことなのだと痛感しました。
役割マネジメントは上司がメンバーそれぞれと対話をすることを前提にしており、日常のコミュニケーションにおいてもインパクトの大きい研修であるために、継続のフォローアップが必要だと感じました。
言語化の精度アップと部内での浸透を重視し、フォローアップ研修を企画
そこで、2024年には、部長層にフォローアップ研修を実施しました。研修企画に当たっては、言語化の精度をどれだけ高められるかを意識しました。また2回目の研修でも、事後に言語化ワークを計画。研修で学んで終わりにならないような学習設計を目指しました。
さらに、部門での浸透も重視し、受講者たちに各部門の中核人財と見込んだメンバーと、言語化ワークで作成した期待役割を使用して面談を実施してもらうことにしました。基礎研修後の言語化ワークは受講者の中で完結していた印象も感じたので、部門メンバーと対話や合意ができたかという「その後の部門での実践・運用」までを設計しました。
言語化ワークはシートに書くことがゴールではなく、「期待役割」について部門メンバーと対話や合意することがゴールです。面談を通してメンバーにもきちんと「期待役割」が伝わったかを確認するため、面談後にメンバー側にアンケートをとって効果検証を行うことも計画しました。
NOKIOOからの提案
役割マネジメント研修 - 部門の役割を言語化し、マネジメントスタイルを変換 -
チームの成果を最大化するために、各部門の期待役割と成果要件を言語化するための着眼点や、チームメンバーと合意形成を進めるための対話の進め方をお伝えし、各部門長が研修終了後に「実践できそうだ」という手ごたえを持てる状態を目指しました。
研修実施・効果
研修が部門内の対話を後押し。メンバーからは「上長の考えがわかって良かった」との声
事後にメンバー側に行ったアンケートでは「上長が考えていることがわかって良かった」という声が挙がり、フォロー研修をやった成果の1つだと思っています。受講者にメンバーとの面談をしてもらい、さらにメンバー側からアンケートを取るという研修の後工程から受講者だけではない声を拾うことができました。
受講者側からは「今まではタスクの列挙のような話し方で終わっていたが、こういう話し方をすると必要性が伝わっている実感がある」「ミーティングが活性化された」という嬉しい声も聞かれました。上司としては部下と対話の必要性を実感していても、「今さらどうやって何を話す?」と躊躇するところを、研修で後押しできたのだと思います。
想定外の嬉しい行動も見られました。中核メンバーとの面談は1人を選んで行う人が多いと想定していましたが、中堅と若手の複数名と面談するなど、面談相手が1人だけではないケースが多かったことです。受講者が自部門の中で役割マネジメントの効果を最大化するにはどうしたらよいかを考え、例えば「若手の方が響くのでは」と仮説を持って実施してくれたのだと思います。
研修企画から受講生のアウトプット評価まで。NOKIOOが伴走する効果
今後は、研修で作成した期待役割を活用した個人面談を行い、各人の目標設定を進めてまいります。そこでどのような動きがあるかは、キャッチアップしていきたいと思います。
今後、評価面談と合わせて、役割マネジメントを振り返る場を設けることは継続したいと思っています。ただ、役割マネジメントができているかどうかを評価をするのが難しいと感じており、そこをNOKIOOに支援してもらえたらと思っています。
研修をNOKIOOに伴走してもらう効果はいくつかあります。私たちは受講生に対してこれまでの関係性や社内の情報によってバイアスをかけて見てしまう可能性がありましたが、外部講師だと客観的に見てもらえます。受講生のアウトプットに対して、中立的なアドバイスをいただけました。また、他者視点を取り入れることで、自社文化への気づきもありました。
研修の企画においても、対話しながら目的に合った内容を提案してもらえたのはありがたかったです。様々な意見交換をする中で、NOKIOOに伴走してもらったおかげで、事後工程の面談やアンケートの設計など、企画として1本筋の通った内容にすることができました。
まとめ
上司のマネジメントスタイルの幅を広げ、縦割り意識を変えるきっかけに。次世代や店舗人財にも広げたい
当社はこれまで、上司が部下に指示をする統制型のマネジメントが強かったところがあります。今回の役割マネジメント研修は、上司に視点の転換を促すきっかけになったと感じます。今後メンバーが自律的に行動する組織に変わるために、上司にはマネジメントスタイルのカードを増やしてほしいと考えています。
同じように、これまでは部門ごとに縦割りの意識があったのが、他部門と連携するきっかけになったと思います。他者とつながり、自分の担当外にも足を一歩踏み入れる人がどんどん増えてほしいと思っています。
今後の課題としては、役割マネジメント浸透のために社内に対話を根付かせることです。上司が言語化できるようになったとしても、対話ができないと部下も変わることができません。2024年下期には対話をテーマにしたマネージャ―研修を企画しており、まさに役割マネジメントを次の世代につなげる施策になるのではと感じています。
また、役割マネジメント研修の対象者としては、昨年、今年と本社の部長を対象にしましたが、社内で大多数を占める店舗の管理職にどう浸透させていくかも課題です。店舗の人財育成を担当する部門と連携したいと思います。
役割マネジメントは人事評価者研修を補完するもの
当社では以前から人事評価制度を持ち、各人が目標設定をして上長が評価するというサイクルを回していました。ただ、制度が回っていれば良いわけではなく、いかに良い運用をして事業とメンバーの成長につなげるかが肝だと思っています。
評価者に対して行われる一般的な研修は、制度の説明や評価の仕方、バイアスについてのインプットが中心で、メンバーとどうコミュニケーションをとるかは上司の自己流になりやすく、各人のマネジメントスタイルに依存しやすいと感じています。
また、そもそも目標設定の段階でメンバーとしっかりコミュニケーションをとり、合意形成できていないと、会社や部門が目指すことは実現できません。その意味で、今回の役割マネジメント研修は人事評価を効果的に運用するスキルを身につける良い機会となったと感じており、社内での定着に引き続き取り組みたいです。