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導入事例 Case Study

女性リーダー候補者育成

多様な人材の育成

両立支援研修 ー上司と当事者の相互理解を生み出し、チームで成果を上げる職場づくりをー

鴻池運輸株式会社

ダイバーシティ推進部
部長 高井隆様
担当課長 三浦和子様

テーマ:管理職向け育休マネジメント研修
当事者向け両立支援研修

両立支援研修 ー上司と当事者の相互理解を生み出し、チームで成果を上げる職場づくりをー

インタビュー

背景・課題

制度はあっても、相談する人が周囲にいない。ー準備不足のまま復職してしまう人を減らしたいー

当社は企業理念に「『人』と『絆』を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」を掲げ、1人ひとりが最大限の力を発揮できるような環境づくりを進めています。

従業員数は約14,000名(単体)と比較的規模の大きい企業ということもあり、育休取得や復職後の制度は整っており、法定以上の制度もあります。そうした環境下であっても、育休マネジメント研修導入を考えたのは、会社の状況と私(三浦)自身の体験という2つの背景があったからです。

現在は女性社員の割合も増加していますが、会社としては大多数が男性社員、女性社員がごく少数という状況が長く続きました。そのため、これまでは育休取得者のほとんどが女性であったにもかかわらず、社内で同じ境遇にいる女性自体が少ないため、情報収集することは難しい状況でした。

また、私(三浦)はこれまで2回の育休を取得しましたが、特に約10年前に取得した1回目の育休復職時は周囲に気軽に相談できる人もおらず、準備不足だったことを痛感しています。復職面談では何を話していいのかわからず、上司とうまくすり合わせができませんでした。働き方も「子どもを産む前と同じように働けるかな…?」くらいにしか考えておらず、非常に甘い考えのまま復職し、体調を崩してしまうこともありました。そのため、2回目の復職時にも両立への不安が完全に消えることはありませんでした。

この経験から、準備不足が理由で悔しい思いをする人がいなくなればと考えたことが、今回の研修導入を検討したきっかけでした。

制度はあっても、相談する人が周囲にいない。ー準備不足のまま復職してしまう人を減らしたいー

研修企画・狙い

育休復職者の存在が当たり前である風土醸成に向けて、社内アンケート実施と社外研修参加を経て企画

2019年に私どもの所属するダイバーシティ推進部が設置されました。それまで人事部門が担当していた女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定を、2020年4月始期分から当部で担当することになり、育休復職者の支援策を計画に組み入れました。そしてそのためには、組織内の風土醸成が最も大事だと考え、研修を企画することにしました。

とは言え、私自身(三浦)の経験や想いだけで推し進めるわけにはいきません。そこで、社内の同意を得るために、事前に社内の育休取得経験者へのアンケートを実施するとともに、NOKIOOさまが開催されるオンラインスクール「育休スクラ(現スクラ)」に参加しました。

アンケートでは「産休や育休を取得したときにどのようなことに困ったか、どのようなサポートがあったら助かったか」といった内容で意見を募りました。その結果、会社の制度の一部がわかり辛かったという声が上がり、人事部門が監修しているマニュアルの改訂にも共同で取り組みました。

また、2回目の復職から5年が経過していましたが、私(三浦)自身が半年間、「育休スクラ」に参加し、”今まさに育休中の方”の悩みや学びたいこと、その当時の世間の潮流を知る機会になりました。

そして、スクラでのプログラムの中から、当社の現状にマッチしたものや将来的に知っておいてもらいたい内容をピックアップして研修を組み立てていきました。特に復職者と上司の相互理解が大事だと感じ、「対話」に関するカリキュラムは必ず入れたいと思っていました。

上司のサポートや意識づけを重視。復職者向けと上司向けの研修を用意

研修企画で工夫した点は2つあります。1つは、復職する当事者向けだけではなく、並行して上司向けにも研修を行ったことです。当事者はネットを当たり前に使う世代でもあり、自身で情報を収集する人が増えています。一方、現状では上司側は部下に復職者を持つ人は少なく、当事者と同じ意識を持つことが難しい状態でした。風土醸成のためには上司のサポートや意識が欠かせないと考え、復職者向けと同時期に、上司向けの研修を行うことにこだわりました。

当社では男性が多数を占めており、「育休取得者=女性」という偏見を払拭していくためにも、NOKIOOさまの担当講師の方には「内容は、当事者・上司向けともに男女問わない形にしてほしい」と依頼しました。資料や講義の内容を細かく調整してもらえ、会社の状況にもフィットする形で内容を考えていただけたのはありがたかったです。

もう1つは、全国の営業所から社員が参加できるように、オンラインでの開催、かつ研修中はチャットを活用し、発話せずとも質問をしたり自分の考えを発信できるようにしたことです。営業所の中には、研修受講のために会議室を確保することが難しいケースもあるため、社員が自席に居ながら臨場感を持って受講できるようにしました。

育休復職者の存在が当たり前である風土醸成に向けて、社内アンケート実施と社外研修参加を経て企画

NOKIOOからの提案

リアルさを追求し、実際の育休復職後の社員も登壇。全国からチャットで反応が飛び交う

研修は管理職(上司)向けの「育休マネジメント研修」と当事者(育休取得予定者・育休者・復職者)向けの「復職計画ワークショップ」の2つを企画しました。対象は総合職の希望者とし、まずは社内での定着を目指しました。

初年度の2022年、トライアルの形で人材開発本部内で実施したところ、内容に関しても、チャットを活用する形式についても、大変好評を得たため、2023年度、まずは全総合職向けに展開しました。当初、上司向け研修は「周りに復職者がいるから」という動機での参加が多かったのですが、徐々にテーマ自体に関心を持つ人が増え、上司向け研修の参加者も増えてきました。

私たちも実際に参加してみて、NOKIOOさま、講師の方の説得力あふれる説話や進行力に感心しました。受講生に対する共感力、肩ひじを張らない雰囲気づくりは素晴らしく、チャットを使ったコミュニケーションも大変新鮮で、自分が確かに参加していることを実感できたのではと思います。全国津々浦々で勤務する社員たちから次々とチャットの書き込みがあり、1人ひとりの悩みや考えが全体に共有されていくことにも喜びを感じました。

上司向けの研修ではリアルさを重視し、復職した社員のケーススタディを取り入れたことも好評でした。また、実際に育休復職から間もない社員やその社員の上司に登壇してもらい、講師の方からインタビューしてもらう形式で話を聞きました。これがとてもリアルでわかりやすかったと、事後アンケートで多数の声が上がりました。

リアルさを追求し、実際の育休復職後の社員も登壇。全国からチャットで反応が飛び交う

研修実施・効果

3年間の取り組みで少しずつ見えてきた意識変化

3年間の取り組みを経て、社内の変化も少しずつ見えてきました。

例えば、以前は社内で男性育休など口に出す人もほぼいない状態で、ダイバーシティ研修を行っても「そんなの取れるはずがない」という声もありました。しかし、最近、法改正があったこともあり、拒否感は減ったと感じます。

また、復職面談で上司が「対話」を意識するようになったことも、素晴らしい変化だと思っています。以前は人事部門が提供している復職面談用フォームのフリースペース欄に何を書いていいかわからないという声がありました。今はNOKIOOさまの研修コンテンツを参考に、対話のポイントや話の流れをまとめた資料を上司に送付しており、面談がスムーズになってきたのではないかと思います。当社ではコーチング研修も進めており、管理職が傾聴や承認の仕方を学んでいることも「対話」を後押ししています。

人事部門ではウェルビーイングサーベイを行い、従業員の「幸せ」を追求しています。1人ひとりの働き方の尊重や、対話を通じた承認は従業員の「幸せ」に寄与するものと思います。社内のさまざまな取り組みが合わさることで、今後さらに、意識変化のムーブメントが起きるのではと期待しています。

3年間の取り組みで少しずつ見えてきた意識変化

まとめ

社内認識の統一。男性にフォーカスした取り組みも行いたい

ダイバーシティに関する取り組みは、社内のみんなが同じ認識を持つことから進めていく必要があると考えています。そのため、今後は管理職向けの「育休マネジメント研修」はより多くの人が受講可能な形式で実施予定です。当事者向けも、総合職か専門職かに限らず、希望する誰もが受講できるよう、対象者を広げていきたいです。

また、研修後のアンケートで希望者が多かった「男性にフォーカスした取り組み」も検討中です。例えば、男性育休や出産前後のパートナーのサポートに関するセミナーなどです。

男性育休や育児目的休暇の取得率は少しずつ増加していますが、実は、数年前までは「管理職は部下をフォローして残業するのが当たり前」「有給を取るなんて…」という自己犠牲の文化が残っていたのも事実です。有給休暇も育児休暇も、取ろうという気持ちと取らせる気持ちの意識変革をさらに進められるような啓発活動を継続していきます。

ダイバーシティの取り組みにはゴールはありません。自分たちの意識を日々アップデートし、研修内容も最新のものにしていきたいと思っています。